さて、今回の考察からはいよいよ沙耶ルートの謎の本質に迫っていこう。
注意!以下、やばいほどネタバレです。
恭介、真人、謙吾に囲まれ、理樹に手を引かれる沙耶。
この絵について、ネット上では様々な議論がされていて
・鈴のポジションを沙耶が奪った
とか
・リトバスメンバーと楽しく遊ぶ、という本当はありえなかった沙耶の幻想
などという解釈がされているが
断じて違う!
この謎を解く鍵はリトバスEX PVG内の
麻枝氏のコメントにある。
鈴がいないのはなぜですか、という質問より、なぜ真人と謙吾がいるのかを考えていただいたほうがわかると思うんです。
なんか「鈴のポジションを沙耶が奪った」みたいな捉えられ方をされることもありますが、そんなことはけっしてありません。
なぜ真人と謙吾がいるのか・・・それを考えていくと、一つの結論に当たりました。
■考察
沙耶は恭介、真人、謙吾によって虚構世界が支えられていることを知っていた
なぜ、そう言えるのか、いくつか論拠をあげよう。
○論拠1
リプレイ後の8階で、時風に組み伏せられた沙耶の台詞
「恋もっ・・・
初恋もまだで・・・
何も知らないままでっ・・・
死んじゃったんだから!
こんなところに、あたしが駆け抜けたかった青春があったからっ・・・
だったら、身を寄せるじゃないっ!
こんな優しい世界があったらっ!」
「知っていたのか
だがおまえにとってはずっと辛い場所だったはずだ」
「違う・・・
わかってるわ・・・
みんな優しいことを・・・
あなただって、あたしを消そうと思えばいつでも消せたはずなのに・・・」
「・・・そうだな」
ここで沙耶は
「みんな優しい」と言っているが、
”みんな”とは誰か。
恭介と理樹だけならば「みんな」という複数形では言われないだろう。
また沙耶の台詞をよく読むと
虚構世界を指して「優しい」と言っていることが分かる。
となれば、「みんな優しい」と言っている「みんな」とは
虚構世界を成り立たせている恭介、真人、謙吾の三人を指していたと考えるのが自然だろう。
そうなれば時風が「知っていたのか」と反問したのは
「みんな」の力で虚構世界が成り立っていることを「知っていたのか」
という反問であることが分かり、会話の意味も通るのである。
○論拠2
Saya’s songの歌詞
沙耶のテーマ曲である Saya’s song
沙耶の心情をそのまま描いた歌であることは麻枝氏も明言している。
その中には
夏も秋も
ほんとはみんなと居たかった
ありがとうきみたちの中にある輝きを
こんなにくれたらもう十分だよ
など「みんな」「きみたち」といった表現が出てくる。
これは虚構世界が、恭介だけでなく真人や謙吾といった
「みんな」の力で支えられた優しい世界であることに気づいていたからと言えるだろう。
○論拠3
カツサンド事件
購買に新メニューのカツサンドが入ったとき、
リトバスメンバーでメニューの取り合いをする。
このとき、沙耶ルートに入っている場合は
全員がカツサンドを手にするという戦果をあげることができる。
理樹自身もゲーム内で言っているように、沙耶の介入があったことは間違いない。
しかし、これまた理樹が
不思議に思う。
なぜ彼女がそんなことをしたのか。
面識のない僕の幼なじみに、こんな不自然な『プレゼント』をするなんて。
と言っているように
なぜ面識のないはずの理樹の友人たちにまで
カツサンドというプレゼントをくれたのか?
という疑問が残る。
これについても
沙耶は恭介、真人、謙吾らによって虚構世界が支えられていることを知っていたとすれば
その感謝の意をこめてのプレゼントだったと筋が通るのである。
○論拠4
沙耶は時風を「敵」という呼称はしていない。
もしかしたら見落としがあるかも知れないが、
沙耶は時風のことを「この世界のボス」「黒幕」「ゲームマスター」とは呼んでいるが
「敵」という呼び方はしていない。
理樹は「敵」という呼び方をしているため混同しそうになるが
沙耶は決して時風を敵とは思っていないのである。
さて、ここまで来たら、この絵の意味は言わずともあきらかだろう。
すなわち
■考察
この絵は沙耶にとっての虚構世界のイメージである
○なぜ真人と謙吾がいるのか、それはこの2人もまた虚構世界を支えているからである。
鈴がいないのは、鈴は虚構世界を支える力は持っていないから。
○そして、この絵をよく見ると
・沙耶の手を引く理樹
・それを見守る恭介、真人、謙吾の3人
という構図になっている。
この構図はまさに虚構世界での沙耶の在り方そのものと言えるのではないだろうか。
ちなみにリトバスEX PVGには、このシーンの没絵も掲載されているが
上記の構図は没絵でも変わらない。
○なお沙耶ルートのエンディングで、この絵が表示される部分の歌詞を抜粋すると
ありがとうたくさんの
ありがとう思い出を
これ以上はもうわがままになる
ありがとうきみたちの中にある輝きを
こんなにくれたらもう十分だよ
となっている。
まさに「きみたち」とは、この3人に他ならない。
○さらに絵をよく見ると
・クレーンゲームでとったと思しきぬいぐるみ
・理樹と勝負をしたサンドイッチや総菜パン
などが見受けられる。
これらはいずれも虚構世界でのものであることからも、
沙耶の虚構世界に対するイメージを表した絵と見て間違いないだろう。
長くなったが、他のサイトやブログでは
このような解釈は見受けられなかったので筆を尽くして書いたつもりである。
続いて、沙耶ルートのエンディングの謎について迫っていく。
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さすが